カルロス・ゴーン事件で注目されている司法取引とは?

カルロス・ゴーン社長が逮捕されたことに関連し、東京地検特捜部と日産幹部との間で、司法取引が行われたと報道されています。
司法取引というと外国の話のようですが、日本でも、2018年6月1日から導入されました。

日本の司法取引は、被疑者(被告人)が、共犯者に関して、真実の供述をしたり、証拠の提出に協力することを検察官に約束します。検察官は、その見返りに、協力者について、起訴しないことや、懲役ではなく罰金を求刑することなどを約束します。
司法取引は、末端の実行犯のみが訴追され、首謀者が罪を免れるという事態を避けるために導入されました。司法取引の対象となる犯罪は、有価証券にうその記載をしたことや、横領・背任などの経済犯罪公務員の汚職、薬物事犯や組織的な詐欺などです。
司法取引に馴染まない殺人や傷害、強盗などの犯罪では、司法取引はできません。

司法取引では、自分の罪を軽くするため無関係の他人を共犯者に仕立て上げる危険があります。そこで、司法取引により獲得した証拠を裁判所に提出する場合は、司法取引の合意書面も合わせて提出するとされていて、客観的な真実に合っているかを慎重に取り調べます。事後的に、司法取引で提出した証拠が虚偽であったことが分かると、5年以下の懲役が科されます。

 

綾部薫平(しぶや総和法律事務所)

1977年横浜市生まれ。2001年東京大学法学部卒。2013年しぶや総和法律事務所開設し、代表に就任。2015年からG-FACTORY株式会社(マザーズ上場)の社外監査役を兼務。注力分野は一般企業法務、不動産、相続・事業承継など。訴訟など従来の弁護士業務にとどまらず、法律を出発点に関与先企業の経営課題の改善にも取り組む。「詳説不正調査の法律問題」(弘文堂 共著)、「弁護士が悩む不動産に関する法律相談」(日本加除出版 共著)など著書多数。セミナーや社員研修の講師も務める。

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