個人版事業承継税制の創設

概要

平成31年度税制改正により個人事業者が事業承継を行う場合に税負担をゼロとする新しい制度が創設されました。個人の農業経営者にもご活用いただけますが要件や手続きなど留意する事項がございます。

内容

◇税 制 ・・・相続税・贈与税の納税猶予
◇期 間 ・・・10年間の時限措置(2019年1月1日~2028年12月31日)
◇猶予割合・・・納税額の全額(100%)
◇対象資産・・・青色申告書の貸借対照表依計上されている事業用資産が対象※
      ※土地・建物・機械器具備品・車両・運搬具・生物・無形償却資産等
◇ 条 件 ・・・担保の提供
◇ 手続き ・・・2019年4月1日~2024年3月31日までに一定の承継計画を都道府
県に提出する
経営承継円滑化法に基づく認定が必要

留意事項

◇不動産貸付業など一定の事業は対象とはなりません。
◇相続税において、小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)とは選択制となります。
◇適用後も申告期限後3年毎に税務署に継続届出書の提出が必要です。
◇贈与者または事業承継者が死亡した場合など一定の事由に該当するときは、猶予された納税額は免除されます。
◇事業承継者が事業を廃止した場合など一定の要件に該当するときは、納税猶予の全部または一部が打ち切りとなります。
◇納税猶予が打ち切りなった場合には、本税に加え利子税をあわせて納付しなければなりません。

その他

上記以外にも、贈与税の納税猶予を受ける場合には、土地・建物の贈与につき不動産取得税や登録免許税等の諸費用に留意する必要があります。また小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)は受けられませんので、事前に有利不利の判定が不可欠です。

 

石井宏(石井宏税理士事務所)

東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。

現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。

農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。

(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者)
(一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会正会員)
ウェブサイト:https://141tax.com

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