消費税の改正に伴うQ&A

消費税の改正に伴う実務対応

令和元年10月1日より消費税率の改正と軽減税率制度が導入されました。
消費税について質問の多い内容をまとめましたので、農業経営者の皆様のご参考になれば幸いです。

消費税軽減税率制度の趣旨と概要について

Q.消費税の増税に伴い軽減税率制度がはじまりましたが、この制度の趣旨と概要を教えて下さい。

A. 社会保障と税の一体改革の下、消費税率引上げに伴い、所得の低い方々に配慮する観点から軽減税率制度が導入されました。「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」が軽減税率制度の対象となります。

9月に注文を受けて10月に販売した場合の消費税率は何%ですか?

Q.9月に予約を受けていた商品を10月に納品しました。この場合における消費税は予約時の消費税率でしょうか?それとも納品時における消費税率でしょうか?

A.消費税法における棚卸資産の販売等の時期は、原則としてその資産の引き渡しの日となります。従いまして9月に予約を受けていたとしても納品した日が10月ですので新税率の適用となります。なお、軽減税率制度の対象となる資産の譲渡に該当する場合には、引き続き8%の税率となります。

インターネット通販で農産物を販売した場合の注意点について

Q.農産物をインターネットで販売しています。この場合に消費税で注意すべきことを教えて下さい。

A.まず、インターネット通販で農産物を販売した場合においても、軽減税率制度の対象となる商品に該当すれば、軽減税率制度の適用となり消費税率は8%となります。軽減税率制度において販売方法は関係がありません。ただし、送料や包装材料を収受する場合には注意が必要です。これらは軽減税率制度の対象外となるため、別途送料等を収受する場合には消費税率は10%となります。なお、送料込みで商品を販売する場合には、その商品が軽減税率制度の対象であればすべて8%の消費税率となります。

農協等への農産物委託販売に係る課税売上高の計算方法の変更について

Q.農協等へ軽減税率の対象となる農産物の委託販売をしております。10月以降の消費税の課税売上高の計算方法について教えて下さい。

A.軽減税率制度の導入により、飲食料品の譲渡は軽減税率(8%)が適用される一方、農協等の販売手数料には標準税率(10%)が適用されます。これまで、農業者の方は、農協等を通じて委託販売を行う際、農協等の販売手数料を控除した後の額を課税売上高とすることが可能でした。10月以降は、実際の販売額(販売手数料を控除する前の額)を課税売上高(8%)とし、販売手数料を課税仕入れ(10%)として、それぞれ計上する必要があります。

※事業者の皆様 免税事業者から課税事業者になる可能性があります。

上記の課税売上高の計算方法の変更により、今後は実際の販売額を基に消費税の納税義務を判定することになります。基準期間(個人事業者の場合には前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者となります。また簡易課税制度の適用を受けている事業者も、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、簡易課税制度が適用できなくなりますので注意が必要です。

 

石井宏(石井宏税理士事務所)

東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。

現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。

農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。

(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者)
(一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会正会員)
ウェブサイト:https://141tax.com

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