農業経営者が死亡した場合の消費税の手続き

消費税の課税事業者である場合

個人事業者の消費税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に発生した消費税について一定の方法により計算し、その年の翌年1月1日から3月31日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし年の中途で死亡した場合には、相続人は、死亡した者の1月1日から死亡した日までに確定した消費税を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに申告と納税をしなければなりません。この申告を消費税の準確定申告といいます。
死亡した者の基準期間(その年の前々年)における課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税の課税事業者に該当し、相続人は上記の手続きが必要となります。

準確定申告の注意事項

◇ 消費税の課税事業者が、翌年の1月1日から確定申告期限までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合
→相続人は、前年分と本年分の消費税の準確定申告を相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに税務署に提出しなければなりません。

◇ 個人事業者の死亡届出書
→相続人は、「個人事業者の死亡届出書」を速やかに被相続人の所轄税務署に提出して下さい。

◇ 相続があった場合の納税義務の免除の特例
→相続人が相続により事業を承継した場合においては、相続人の納税義務の判定は、その実態に即し被相続人の課税売上高を考慮して納税義務の判定することになります。すなわち被相続人の基準期間における課税売上高が1000万円を超える場合には、その事業を承継した相続人は、消費税の課税事業者になります。

・相続人が新たに課税事業者になった場合
相続人が相続により新たに課税事業者になった場合には、「課税事業者届出書」を相続人の所轄税務署に提出して下さい。また「簡易課税制度選択届出書」など各種届出書については相続があった年の末日までに提出すると、相続があった年から届出の効力が発生します。
  
・相続人が相続開始前から課税事業者であった場合
相続人が従来から選択している方法により申告及び納税を行います。

 

石井宏(石井宏税理士事務所)

東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。

現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。

農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。

(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者)
(一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会正会員)
ウェブサイト:https://141tax.com

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