リンゴで収量を取るための栄養素

リンゴで高い収量を取るためにはバランスの取れた栄養管理が必要です。 収量を取るためにポイントは果実の数を確保する事と果実の大きさです。 リンゴの収量を上げるには、樹上の果実を適切なバランスに保つことが重要です。

  • 作物が環境条件を最大限に活用して収量を上げるための潜在能力を引き出すためには、木の密度、果樹園の向き、間隔が重要です。
  • 植え付け前に徹底的な土壌整備と最適な土壌pHを維持することで、健全な発根を促し、栄養素が作物にすぐに吸収されるようになります。
  • 最適な数で均一なサイズの果実を生産するには、剪定と果実の間引きが非常に重要です。
  • 殺菌剤や殺虫剤を使用すると、収量や品質に影響を及ぼす病気や害虫の発生率が減少します。

窒素、カルシウム、カリウムが最も重要です

窒素、カルシウム、カリウムはリンゴ・梨にとって多量に必要とされる栄養素です。

主要栄養素の部位別分配量

リンゴ収穫量-30㌧/ha換算
縦軸:年間1ha当たりの分配量(kg)
横軸(棒グラフ):N 窒素 P リン酸 K カリウム Ca カルシウム
最上段:収穫後の果実 二段目:葉、花 三段目:剪定枝 最下段:根

窒素は生育初期の樹木、葉、果実の生育を最大限に高めるために不可欠です。 リンゴの果実から取り除かれる窒素量は年間で1 トン当たり約 0.6kgが目安となります。

果実の生産を旺盛にするためには樹木内に大量のカルシウムを蓄えさせることが必要です。 そのほとんどが樹木の初期生育の段階で摂取されます。 果実に取り込まれるカルシウムはほんの一部です。 リンゴの果実から取り除かれるカルシウム量は年間で1 トンあたり 0.1 kg 未満とごく僅かです。

 

主要栄養素がリンゴ果実1トンから取り除かれる量の目安

単位:kg(キログラム)
N:窒素 P:リン酸 K:カリウム Ca:カルシウム Mg:苦土

カリウムが吸収されるピーク時期は果実の充填段階にあたり、窒素やカルシウム吸収のピークよりも遅いタイミングです。 カリウムは果実の収量と重量を最大化するために重要な推進役となる栄養素であり、収穫されたリンゴ果実1 トンあたり平均 1.4kg が取り除かれます。

リンゴ・梨のリン酸の必要量は窒素、カリウム・カルシウムと比べれば低いですが、年間を通じて摂取されます。 通常は土壌からの供給で必要量を満たすことができますが、需要のピーク時には潅水施肥・葉面散布・果実への直接散布が必要となる場合があります。

マグネシウムは良好な生育を維持するために重要ですが、除去量は果実 1 トンあたり 0.1kg 未満と低いです。

微量栄養素、特にホウ素も収量を取るために重要です

微量栄養素がリンゴ果実1トンから取り除かれる量の目安

単位:g(グラム)
B:ホウ素 Cu:銅 Mn:マンガン Mo:モリブデン Zn:亜鉛

ホウ素・銅・鉄・マンガン・モリブデン・亜鉛も制限されていないことを確認する必要があります。

まとめ(各栄養素の働き)

  • リン酸は初期生育と発根に重要な栄養素であり、健康な花房を増やし大きいサイズの果実を取るためにも重要です。
  • カルシウムは健全な葉の発育と樹冠の生育を確実にするために必要であり、収量を確保するための基盤を作る栄養素です。
  • マグネシウムとマンガンも光合成の活性化に寄与し、樹木の生産的な成長と強力な果実保持を維持します。
  • 微量栄養素の吸収が制限されている場合、収量減となる懸念があります。特にホウ素は、花の数と結実を最大化するために開花時に特に重要です。 亜鉛はつぼみの発育と開花にも重要です。

 

Yaraがリンゴに推奨する肥料

カルシニット、トロピコート、ニトラバーは硝酸カルシウムベースの肥料です。水溶性に非常に優れているためカルシウムと硝酸態窒素が同時に即座に作物体内に取り込まれます。

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リンゴ・梨が必要とする栄養素

 

本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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