アブラナ科作物の保存品質と貯蔵性を良くする方法

良好なバランスの取れた栄養を与えることで乾燥重量・細胞壁の強化、水分制御などアブラナ科作物の保存品質と保存期間に関係する指標に好影響を及ぼすことが可能となります。

アブラナ科作物の中でも花蕾を収穫するカリフラワーとブロッコリーは非常に傷みやすいため、商品価値を下げない様にするためには収穫から店頭での販売までの保存期間は短いに越したことはありません。 一方でキャベツなどの葉物のアブラナ科作物は、収穫のタイミングと保存期間に関してカリフラワーやブロッコリーに比べればそこまで神経質になる必要はないかもしれません。 とは言え葉物野菜の場合でも高品質で長い期間棚に置いたとしても商品価値を損ねない様にすることは重要です。そのためには葉を良好で丈夫な緑色に保つための栄養確保が鍵となります。
アブラナ科作物の糖度を上げることによって甘くておいしい作物を生産するためにも良好な栄養素を与えることが必須の前提条件となります。

窒素過剰は貯蔵性を悪くする懸念があります

窒素は収量をとるために重要な栄養素ですが、一方で最適な量を超えて過剰になると保管品質(棚持ち)を悪くしてしまう懸念があります。

キャベツの乾燥重量と窒素量の関係

左縦軸:キャベツ1株当たりの収量(kg) 濃青折れ線グラフ(収量)
右縦軸:乾燥重量(%) 淡青折れ線グラフ(乾燥重量)
横軸:窒素換算施肥量(kgN/ha)

窒素過剰になると乾燥重量(%)が低下する傾向があり、これによってキャベツの保存品質が低下します。 特に感受性の高い品種では保存中に病害が発生する可能性が高くなります。

カリウムは作物の保存性能を高めます

適切なカリウムの供給により市場性の高い作物を作ることが出来ます。健康な状態を保った状態での保存期間が長くなり、保管中の水分損失が少なくなります。

キャベツの芯腐れに対するカリウムの影響

左縦軸:濃青棒グラフ 収量(㌧/ha)
右縦軸: 淡青折れ線グラフ  収穫時の芯腐れの割合%)
横軸:カリウム投入量(左から右に行くに従って増加)

カリフラワーの貯蔵品質に対するカリウムの影響

縦軸:貯蔵期間(棚持ち)/水分ロス(%)
濃青棒グラフ 日数 淡青棒グラフ 水分ロス(%)
横軸:カリウム投入量(kg/ha K2O: 左から右に行くに従って増加)

カリウムの形態も SOP (硫酸カリウム:硫加) の方が貯蔵性を良くする傾向があり、MOP (塩化カリウム:塩加) よりも乾燥重量の指標となる水分ロスを減らす作用があります。

キャベツの乾燥重量に対するカリウムの形態の影響

縦軸:芯部の乾燥重量(%)
濃青棒グラフ SOP(硫加) 淡青棒グラフ MOP(塩加)

カルシウムは細胞壁強化に寄与します

カルシウムはおそらくアブラナ科作物に必要な栄養素の中で3番目に重要であり、貯蔵性など作物の品質を維持する上で重要な役割を果たします。

カルシウムは植物組織の構造的および生理学的安定性に関与しています。 カルシウムは細胞壁を強化し、細胞膜の完全性(不可侵性)を保つうえで不可欠です。細胞壁の強化と細胞膜の完全性はどちらも保存性を良くし、保存期間を長くするために重要な働きをします。

キャベツのチップバーンに対するカルシウムの影響

縦軸:青果重量(kg/㎡)
濃青棒グラフ 市場価値のある青果収量 淡青棒グラフ 市場価値のない青果収量
左:Control:慣行 右:Ca:カルシウム施肥

カルシウム欠乏によって引き起こされる典型的な生理障害として葉物野菜のチップバーン、ブロッコリー・カリフラワーの花蕾腐敗病、芽キャベツの内部の褐変などがあります。

苦土(マグネシウム)は葉を健康に保つのに役立ちます

苦土はアブラナ科作物の貯蔵性を改善します。

カリフラワーの貯蔵性に対する苦土の影響

縦軸:貯蔵期間(棚持ち)
濃青棒グラフ 日数 淡青棒グラフ 水分ロス(%)
左: -Mg 苦土欠 右: +30kg/ha/Mg 苦土施肥

他の陽イオン (K+、NH4+、Ca2+等) が過剰になると、拮抗作用によって苦土が作物に取り込まれにくくなってしまうため、マグネシウムの摂取を損なわないように正しいバランスを維持することが重要です。 マグネシウムイオン (炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩など) はカルシウムイオンよりも溶解性が高いですが、その分流亡も起こりやすいです。 葉面散布は苦土欠乏を早く修正するために有効です。

硫黄は乾燥重量を改善します

硫黄もアブラナ科作物の品質の改善に大きな役割を果たします。
既述の通りSOP (硫酸カリウム:硫加) の形態で硫黄を適用すると、キャベツの乾燥重量(%)が増加し、貯蔵性が向上します。

キャベツの収量に対する硫黄の影響

縦軸:乾燥重量相関(%) 100ppmsを100%とした場合)
横軸:溶液中の硫黄濃度(ppms):数値0に近づくほど硫黄欠乏が深刻
濃青折れ線 総重量 淡青折れ線 キャベツの玉重量
(キャベツの玉形成はキャベツ全体の生育と比べて硫黄欠の影響をより受けやすい)

Yaraがアブラナ科の作物に推奨する肥料

YaraMila コンプレックス217
12-11-17+20%SO3
カリウムが硫加ベースで硫黄、苦土に加えて微量要素も入っており、元肥・追肥として露地・ハウス栽培作物に使えるオールラウンド肥料です。

YaraLiva トロピコート
15.5% N+26%Ca
粒状硝酸カルシウム肥料で作物に速やかに吸収される硝酸態窒素(窒素全量15.5%mのうち14%)と水溶性が抜群の硝酸カルシウム26%入り。散布し易い様に表面が植物油脂でコーティングされており、土耕栽培作物全般に使えます。

YaraLiva ニトラバー
15.5% N+26%Ca+0.2%ホウ素
作物に速やかに吸収される硝酸態窒素ベースの硝酸カルシウム肥料。カルシウムとの相乗効果があるホウ素が0.2%入っており、土耕用の作物全般に適しておりますが、特にアブラナ科作物のカルシウム・ホウ素欠乏対策に有効です。

 

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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