堆肥・スラリーを有効利用して牧草用肥料コストを低減する方法

牧畜から発生する堆肥やスラリーを牧草生産に効果的に使用することは、肥料コストを軽減する1つの方法となります。 また牧畜から発生する堆肥を農業に有効利用することが出来れば耕畜連携で農業生産用の肥料も減らすことにも繋がります。そのためには堆肥の調達とそれをいつどのように散布するのか?ということが鍵を握ります。

有機肥料は植物栄養素の貴重な供給源であり、これらをより効果的に使用すると、肥料の必要量を大幅に節約できます。 堆肥・スラリーから流用する分の作物栄養を計算して肥培管理を行うことで堆肥の肥料成分を可能な限り牧草用肥料として転用することが可能となります。

土壌分析と堆肥・スラリーの成分分析によってより良い施肥設計を立てられます

優れた牧草地栄養管理計画への最初のステップは、牧草地の土壌と堆肥・家畜の糞尿から発生するスラリーの双方を試験・分析することです。 2月に入る前に最新の土壌試験結果を手に入れ、それを使って牧草圃場への施肥設計を立てることから始めます。 そのためにはあなたがどれだけの分量を調達出来、使用するのかについて明確な考えを持っているべきです、その次に堆肥またはスラリーから出る栄養素を施肥設計の中にどの様に組み入れていくかの問題となります。 これは土壌分析の結果で指標数値が最も低い圃場・圃場箇所を特定出来ると効果的に組み入れることが可能となります。

スラリーをテストするのに良い時期があるとすれば、それは肥料の価格が高いときでしょう。 スラリーの栄養素含有量は変動し、飼料の原料によって農場ごとにバラつきがあることが殆どです。 一方で多くの農場でスラリーには作物にとっても重要な栄養素が含まれていること、また牧草用の代替肥料としての価値がこれまで過小評価されており、牧草用肥料として使用可能な栄養素が見逃されている可能性があることを示唆しています。 もし過少評価されていたとすれば牧草の成長が制限され、ひいては飼料の生産性を損なっていたという可能性があります。

堆肥使用のタイミングを改善すれば窒素の損失が減少します

春にスラリーを散布するのが肥料としての効率を考えると最も適しています。 スラリー由来の窒素を最大限に活用するには、冬の終わりから春先にかけて窒素を散布しておく必要があります。 気温が上がる時期のスラリー散布はアンモニアの揮発による損失が大きいため肥料効率が低下します。 夏場と比較すると春先にスラリーを散布すると窒素の利用可能性が30%から40%増加します。これは一般的には牧草に吸収される窒素が1立方メートルあたり0.26 kg増加することを意味します。

低排出装置を使用すると窒素分の損失が減少します

スラリーをより効率的に散布する方法の一つとして低排出装置を使用する方法があります。 牧草地へのバンド拡散および/または浅く注入(5〜7cm)する技術を使うとアンモニア態窒素の損失が減少し、通常の牧草地表層への散布と比較して窒素分総量の損失を30〜70%程度減少します。 これらは肥料価格の上昇に対応するための選択肢の1つであり、肥料高騰分を完全に相殺することは出来ないまでも肥料コストを少しでも軽減する1つの方法と成り得ます。

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

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Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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