アブラナ科作物の食味を良くする方法

アブラナ科作物の糖度を上げることによって、より甘くておいしい作物を生産するためには、良好な栄養素を与えることが必須の前提条件となります。

硫黄はアブラナ科作物の風味向上にとって重要です

硫黄は多くのアブラナ科作物にとって香りの元となる必須成分であるため、欠乏すると風味や味が低下します。

ブロッコリーの香り成分に対する硫黄の影響度

縦軸目盛:青果1kgに対する香り成分含有量(mg)
左棒グラフ:1ha当たり硫黄を硫酸カルシウム(CaSO4)15kgの形態で施肥した場合
右棒グラフ:1ha当たり硫黄を硫酸カルシウム(CaSO4)150kgの形態で施肥した場合
濃青:フラボノイド総重量(収穫ブロッコリー青果1kgに対しての含有量(mg)
淡青:カフェオイルキナ酸総重量(収穫ブロッコリー青果1kgに対しての含有量(mg)

 

 

カリフラワーの香り成分に対する硫黄の影響度

-カリフラワーの花蕾(青果)100gに対する香り成分含有量(mg)-
濃青:1ha当たり硫黄無施肥の場合
淡青:1ha当たり硫黄を硫安の形態で230kg施肥した場合
Glucoiberin:グルコイベリン
4Methoxyglucobrassicin:4-メトキシグルコブラッシン
Glucoraphanin: グルコラファニン
Alkylglucosiolate: アリルグルコシノレート

 

 

 

硫黄はキャベツの甘味を出すためにも必要な栄養素です。加工性も良くなり人間の健康にも良い特性が得られます。 硫黄の栄養分がしっかりと含まれていると、キャベツが甘くなります。

キャベツの糖度に対する硫黄の影響度

縦軸: 糖度(グルコース%)
横軸: 栄養液中の硫黄濃度(ppm)

 

モリブデンと亜鉛もアブラナ科作物の糖度を上げます

モリブデンと亜鉛も糖度を増加させます。 亜鉛が作物に必要十分な量を取り込まれた場合、葉の糖度が増加します。 亜鉛はタンパク質と結合して安定した複合体を形成することで美味しさに関連する各種酵素が活発化します。 リン酸過多の場合、亜鉛の摂取が制限される恐れがあります。 したがって亜鉛とリン酸のバランスが重要です。

キャベツの糖度に対する亜鉛の影響度

縦軸: 糖度(葉の乾燥重量1gあたりの可溶性糖度mg)
左棒グラフ: 慣行
中央棒グラフ: 亜鉛土壌散布
右棒グラフ: 亜鉛葉面散布

 
 

マンガン欠になると糖度が低下する

マンガンの供給不足も作物の品質に影響を与えます。 マンガンが十分に供給された作物は糖度が高くなります。

カリフラワーの糖度に対するマンガン不足の影響度

縦軸: 糖度(青果1gあたりの糖度mg)
左棒グラフ: マンガンが足りている場合
右棒グラフ: マンガン欠の場合
濃青:Non-reducing sugars非還元糖
淡青:reducing sugars 還元糖

日本で販売しているYaraの硫黄入り複合化成肥料

YaraMila コンプレックス217
12(うち硝酸態窒素5)-11(うち水溶性リン酸7)-17(水溶性カリ)+20%S03-NPKが一粒一粒に配合された高度化成肥料。光合成に不可欠な苦土(マグネシウム)、また近年不足しがちな硫黄に加えて各種微量栄養素も入っており、露地、ハウス栽培作物に幅広く使えるオールラウンド肥料です。

 

 

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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