ジャガイモの打痕傷を減らすには?

ジャガイモの打痕傷はジャガイモの生産者にとって深刻な問題です。消費者の苦情の主な原因ともなり経済的損失をもたらします。 打痕傷を最小限に抑えるためには収穫するまでにジャガイモに適切な栄養素を与えることが重要となります。カリウム、カルシウム、ホウ素が塊茎の打痕傷を減らすのに特に重要な働きをします。

ジャガイモの打痕傷に関連する作物栄養

カリウム(K:Potassium)

カリウムは打痕傷に影響し、カリウムのレベルを上げることにより塊茎の打痕傷の発生を低下させることに繋がります。 下記の英国での試験は塊茎のカリウム含有量が上がるにつれて塊茎打痕傷発生率が品種の違いを超えて総じて下がっていることを示しています。



カルシウム(Ca:カルシウム)

塊茎の高レベルのカルシウムもまた収穫時およびその後の輸送・保管時の打痕傷のリスクを低減させることが分かっています。 ジャガイモの品種によってカルシウム摂取量が異なりますが、硝酸アンモニウム(AN)ではなく硝酸カルシウム(CN)を使用するとより打痕傷を最小限に抑えられることなります。品種によっては打痕傷の差が倍近くになる場合もがあります。
米国で行った試験では硝酸アンモニウム(AN)ではなく硝酸カルシウム(CN)の使用によって様々な品種で塊茎中のカルシウムのレベルを高めたことを示している。



ホウ素(B: Boron)

ホウ素は細胞壁のカルシウムを安定化させまたカルシウムの吸収に影響を与えることが分かっています。バランスのとれた栄養を確保しカルシウムの効果を最大限に引き出すためにはホウ素の供給が重要です。 以下の試験ではホウ素が塊茎のカルシウム含量にどのように影響を及ぼし、塊茎打痕傷の発生率にも影響することが示されています。



ジャガイモ塊茎の打痕傷に影響を与える他の作物管理慣行

  • 適切な品種の選択。
  • 物理的な損傷を避けるために良好な状態で収穫する。
  • 収穫と検品中に物理的な損傷や傷みを減らすために注意を払う。
  • 品質特性を最大化するための灌水のスケジューリング。
  • 保管中の温度と湿度の管理。
 

本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

GRWRS ~食と農のアカデミー~ SNSのご紹介

Facebookページ

Twitter
Facebookグループ FARMERS ACADEMY

Youtube

関連記事

  1. 窒素の使用効率-いかにして改善するか

  2. 土壌中の窒素の変化

  3. 肥料のスプレッダー散布【動画】

  4. 低地温下でのアンモニウム毒性を避ける方法

  5. 複合化成肥料とBB肥料の明確な違いとは?

  6. Yaraの硝酸カルシウムは養分転流を促進