リンゴ・梨が必要とする栄養素

リンゴ・梨などの果樹は窒素、リン酸、カリウム、苦土、ホウ素等ほとんどの栄養素を木の芽、幹、根に予備として貯め込む性質があります。貯め込まれた栄養素は冬を越して翌春の初期の葉の生育、樹木の成長、花の蕾および果実の形成と成熟を促進するために使われます。 さらに剪定、摘果、落葉を通じて栄養素のかなりの割合が土壌中で循環・再利用されます。

リンゴ・梨等の果樹の成長サイクル図

1.冬から早春にかけて樹木に貯蔵された栄養素を使用
開花(Flowering)⇒着果(Fruit set)⇒果実成長(Fruit development)
2.土壌中から栄養素を摂取

 


 

主要栄養素

主要栄養素の分配比率

リンゴ

縦軸(棒グラフ) 横軸(左から右)
最上段(果実:Harvest fruit) 窒素(N)
2段目(葉と花:Leaves and Flowers) リン酸(P)
3段目(枝,剪定:Pruned) カリウム(K)
最下段(根と幹:Roots and wood) カルシウム(Ca)
苦土(Mg)

 



カルシウム、カリウム、窒素はリンゴ・梨などの果樹にとって最も重要な主要栄養素です。果実の生産を助けるために樹木中に大量のカルシウムが必要となります。果実にまわるカルシウムは微量ですが微量とはいえ重要であり、貯蔵品質を上げる結果につながります。

 

主要栄養素の分配量

リンゴ-果実収量30t/ha当たり

縦軸(棒グラフ:単位kg/ha/年間) 横軸(左から右)
最上段(果実:Harvest fruit) 窒素(N)
2段目(葉と花:Leaves and Flowers) リン酸(P)
3段目(枝,剪定:Pruned) カリウム(K)
最下段(根と幹:Roots and wood) カルシウム(Ca)
苦土(Mg)

 



かなりの割合の窒素は果樹の生育サイクルの初期に必要となります。それは栄養成長のための葉の成長、開花、着果に使われます。 着果以降の生育ステージで過剰な窒素が発現すると果物の品質に悪影響を与える可能性があります。 このことを踏まえて成長の2つの主要な段階で窒素を施肥(摂取させる)するのが一般的です。 最初のタイミングは収穫後の秋の礼肥で、翌春になって早春の開花・着果・初期の葉の発達をサポートするために使われます。 2回目のタイミングは春の開花期で晩春から夏にかけて葉と果実の成長のために使われます。

 

各生育ステージにおける栄養素の分配量

リンゴ
窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、苦土(Mg)、硫黄(S)
蕾から満開(Bud Break-Full bloom)⇒満開から満開後45日(Full bloom- 45days after full bloom)⇒満開後45日から収穫前(45days after full bloom – harvest) ⇒収穫期間(Harvest)⇒収穫後(Post Harvest)⇒冬季休眠(Winter Dormancy)



カリウム(K)の摂取量のピークは窒素の摂取量のピークの後に遅れてやってきますが、収量のみならず果実の甘味にも大きな影響を及ぼします。 リン酸(P)は窒素(N)、カリウム(K)と比較して要求量は低いですが生育ステージ初期の植物組織の新たな成長期(新しい根と花が形成され果実が形成される段階の細胞分裂中)に特に必要とされます。
苦土(Mg)は良好な成長を確保する上で重要となります。必要量は比較的低レベルですが、葉の成長と良好な開花に寄与し落果を少なくする役割があります。

 

微量要素

微量要素の要求量は主要栄養素と比較してはるかに少ないですが良好な成長を満たすために必要です。 リンゴでは微量要素の中でもキーとなる栄養素はホウ素(B)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)です。
特にホウ素(B)と亜鉛(Zn)は、芽の発育、開花、着果に重要な役割を果たす微量要素です。

リンゴにおける微量要素最大消費(除去)量

縦軸:果実1トン当たりの除去量(gグラム)
横軸棒グラフ:ホウ素(B)、銅(Cu)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、亜鉛(Zn)


 

リンゴにおける微量要素消費(除去)量

単位:g/果実1トン当たり


 

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本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

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