農地所有適格法人について

制度の概要

農業経営を行うために農地を取得することができる法人を農地所有適格法人といいます。平成27年農地法改正(平成28年4月1日施行)によりこれまでの名称である「農業生産法人」から改められ一定の要件が緩和されました。

農地所有適格法人の4要件

農地所有適格法人になるためには、下記の4つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 法人形態要件
その法人が、農事組合法人、株式会社(公開会社でないものに限る)、持分会社(合名、合資、合同)のいずれかであること

2. 事業要件
その法人の主たる事業(直近3か年の売上高の過半)が農業(販売・加工等を含む)であること

3.構成員・議決権要件 ※構成員・・・株主・社員・組合員
  農業関係者の議決権が総議決権の2分の1を超えること
  ※農業関係者・・・農地提供者・常時従事者・地方公共団体・農協等
  平成27年農地法改正により農業関係者以外の者についても議決権を2分の1未満ま
  で取得することができるようになり、法人と継続的取引関係を有しない者も構成員と
なることができるようになりました。

4.役員要件 ※役員:取締役・業務執行役員・理事
  次の2つの要件を満たすこと
(1) 役員の過半の者が、法人の農業(販売・加工等を含む)に常時従事する構成員であること
常時従事・・・原則として年間150日以上
(2) 役員または重要な使用人(農場長等)のうち、1人以上が農作業に従事すること
農作業に従事・・・原則として60日以上
  平成27年農地法改正により、農作業に従事しなければならない者は1人以上とされ、
  役員でなくても法人の重要な使用人として農場長等の肩書がある者が60日以上農作
業に従事すればよいこととなりました。

税制上の優遇規定

農地所有適格法人は、農地を取得することができるだけでなく、次の税制上の特例措置の適用があります。
1. 農業経営強化準備金制度
2. 肉用牛免税制度
3. 農事組合法人の法人事業税非課税

 設立当初に農地を所有する見込みがなくても、事業計画においてある程度の所得を見込んでいる法人の場合には、農地所有適格法人の検討をすることが望ましいといえます。個人経営の法人化の場合にも同様です。
 なお、令和元年農業経営基盤強化促進法の改正により、農地所有適格法人の一部要件が緩和されました。次回はこの要件緩和と緩和による効果についてご紹介いたします。

 

石井宏(石井宏税理士事務所)

東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。

現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。

農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。

(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者)
(一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会正会員)
ウェブサイト:https://141tax.com

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