柑橘におけるカリウムの役割

カリウムは柑橘類の生産にとって、窒素と同じぐらい重要な栄養素です。 酵素の活性化・細胞分裂・光合成・光合成で作られた糖分の輸送・浸透圧調節に必要です。

収量と品質に関連するカリウムの働き

カリウムは葉のサイズ・樹木の健康と活力に大きな影響を与えます。 また、果実のサイズ・皮の厚さ・色など、果実の品質特性に大きく関与しています。 オレンジを使った試験では、収量・果実のサイズ・品質に対するカリウムのプラスの効果が確認されています。 収量の改善は着果率の改善によることもありますが、それよりも大きな要因としては果実サイズ増によるものです。

 

 

カリウムと葉面散布

土壌の性質など、場合によってはカリウムを土壌にばら撒きで与えても効果的でないことがあります。 例えば粘土質土壌の場合はカリウムを土壌中に固定化してしまうことが多いです。また土壌中または灌水中に陽イオンであるカルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどが高レベルで存在すると同じ陽イオンであるカリウムと拮抗して作物への吸収が悪くなります。 この様な場合は葉面散布によってカリウム補給を行うことが効果的です。

縦軸:収量(単位ポンド/木1本あたり:1ポンド=約450g)
左縦棒グラフ(濃青):慣行 右縦棒グラフ(淡青):カリウム葉面散布
 

カリウムと着果数の関係

カリフォルニアでのバレンシアオレンジの研究でカリウムが収量増に関係することが分かりましたが、着果率の改善によることも収量増の一因となっていることが確認されています。

木1本あたりの着果数
左:対象区(カリウム不投入) 中央:硝酸カリウム葉面散布:右:硫酸カリウム土壌散布

 

カリウムの生理障害への影響

低カリウム条件下または葉組織で窒素の成分率がカリウムの成分率と比べて高い場合、浮皮などの成熟期の果皮障害が発生する可能性が高まります。 これらは生産者にとっては市場性(収益)の低下に繋がります。

横軸(1エーカー当たりのカリウム量(61=6.7g/m2、120=13.2g/m2、180=19.8g/m2、26.5g/m2)
左縦棒グラフ(濃青):浮皮発生比率  右縦棒グラフ(淡青):果皮障害比率

 

カリウムの果汁含有量への影響

カリウムは、果実のサイズ・皮の厚さ・果実の色にプラスの影響を与えます。 試験ではレモンとライムのジュース含有量、およびスイートオレンジにもプラスの効果があることが確認されています。

縦軸:果汁含有量(%)
左棒グラフ(濃青):ゼロ/低カリウム量  右棒グラフ(淡青):適正カリウム量

 

カリウムのTSS(甘味指標)と酸度への影響

カリウムはフルーツジュースの有機酸の含有量を増やします。 この酸味の増加は、TSS(Total Soluble Solids:柑橘の甘味の指標)/酸味の比率も低下させる可能性があります。 したがってカリウム量を適性に管理することは重要であり、その適正値はスイートオレンジ、みかん、レモン等作物によって異なります。

左縦軸:TSS(%)甘味指標:  右縦軸:酸味(%)
横軸(1エーカー当たりのカリウム量(61=6.7g/m2、120=13.2g/m2、180=19.8g/m2、26.5g/m2)
濃青棒グラフ:TSS(甘味指標) 淡青棒グラフ:酸味  折線グラフ:TSS/酸味率
 

カリウム施肥の一般的なガイドライン

柑橘系の作物は他のどの栄養素よりも多くのカリウムを摂取します。 カリウムの適切な施肥量は葉分析または土壌分析に基づいて計算できますが、土壌分析が一般的な方法です。 通常は木1本当たり0.8〜1.4ポンド(365g~638g)を生育期に3〜5回に分けて施肥します。 カリウムが木に最大に取り込まれる時期は果実生育期の後期にあたっており、この時期のカリウム要求量を満たすために施肥量を応分に増やすことが重要となります。

 

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

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