カルシウムは細胞壁の重要な構成要素であり、酵素システム・植物ホルモンの活動、栄養素の取り込みの調節にも直接影響を与えます。 カルシウムは花粉管の伸長と種子の形成にも関係しています。
CN(硝酸カルシウム)と収量-フロリダ
毎年カルシウムを継続的に使用、作物に蓄積させることで高収量を生み出します。
以下はフロリダで土壌pH値を一定にコントロールした環境下で行った試験結果です。
ネーブルオレンジで行った実験では、CN(硝酸カルシウム)を継続的に十分に与えた木と与えなかった木では8年間で収量に大きな差が出ることが分かりました。
縦軸:収量(木1本当たりの収果量:単位ポンド)
左:低カルシウム 右:高カルシウム *1ポンド=約453g
横軸:経過年数
窒素源による収量差: CN(硝酸カルシウム)とAN(硝酸アンモニウム(硝安)
CN(硝酸カルシウム 窒素成分約16%)は、AN(硝酸アンモニウム(硝安)窒素成分約32%)と比較してより高い収量となることが分かっています。ブラジルで行ったバレンシアオレンジの灌水栽培での実験では、CN(硝酸カルシウム)施肥では投入する総窒素量を抑えることによってAN(硝安)施肥よりも収量が上がることが分かっています。 長年に渡る研究・実験によってCN(硝酸カルシウム)はオレンジの収量を増やすための最も効果的な形態の肥料であることが実証されています。
縦軸:収量(トン/1エーカーあたり: 1エーカー=約4,000㎡)
横軸:窒素投入量
Calcinit:Yara社のCN(硝酸カルシウム)肥料
AN(硝酸アンモニウム(硝安)
石灰土壌での収量-フロリダ州バレンシアオレンジ
水溶性のカルシウムを定期的に使用することは、高炭酸カルシウムの土壌や定期的に石灰投入された土壌にも有益です。 アメリカでのオレンジでの試験では水溶性カルシウムを7年間継続的に施肥した結果、収量を最大で56%増大させました。カルシウムはまた多くの果実の障害を減らすのに重要な効果をもたらします。
縦軸:収量(箱数/木1本あたり)
横軸:左からソーダ灰のみ、石灰のみ、石灰+水溶性カルシウム(Ca投入量)
カルシウムと樹木の損失-オレンジ、フロリダ州
フロリダで3種類の柑橘類を研究した結果、柑橘の胴枯れ(フザリウム)による樹木の損失は、CN(硝酸カルシウム)が主な肥料形態である場合には顕著に低下することが確認されています。最も反応性の高い品種のハムリンで調査した結果では、施肥体系の一部にAN(硝酸アンモニウム(硝安))を組み入れた場合樹木の15%が10年後に生産性を失った一方で、窒素源としてCN(硝酸カルシウム)のみを施肥した場合では7%に抑えられました。
10年間で樹木の生産性が失われた割合調査 (柑橘3種以上平均)
縦軸:樹木の生産性が失われた割合
横軸:左(窒素源としてANとCNを混用した場合)
右(窒素源としてCNを100%使用した場合)
果実の中のカルシウム-バレンシアオレンジ、ブラジル
土壌および果実へCN(硝酸カルシウム)をカルシウム補給の目的で使用した場合、果実の障害の発生頻度を減らします。 これは果実の中のカルシウム含有量が増加した結果です。
左グラフ 縦軸:果実上部のカルシウム含有量(mg/kg) 横軸:施肥量(左棒グラフ AN、 右グラフ CN)
右グラフ 縦軸:果実下部のカルシウム含有量(mg/kg) 横軸:施肥量(左棒グラフ AN、 右グラフ CN)
カルシウムの葉面散布と裂果軽減
カルシウムの葉面散布はオレンジやみかんの裂果、浮皮、委縮病を減らします。 スペインの研究では夏季に2回硝酸カルシウムの葉面散布を行った結果、オレンジとみかん(マンダリンオレンジ)双方とも裂果の割合が減少することが分かっています。
縦軸:裂果の割合(%)
横軸:CN(硝酸カルシウム)の施肥回数 左棒グラフ:オレンジ 右棒グラフ:みかん
カルシウム施肥の一般的なガイドライン-まとめ
毎年継続的にカルシウム施肥を行うことで高収量を生み出します。 CN(硝酸カルシウム)はAN(硝酸アンモニウム(硝安))と比較してより高い収量が確保出来ます。 CN(硝酸カルシウム)を溶かして灌水で施肥する方法はカルシウムを作物に取り込ませ収量を最大化する非常に効果的な方法です。 開花前および開花中にCN(硝酸カルシウム)を施肥することで着果率も大幅に改善出来ます。
各ステージでのカルシウムの働き
開花時: 葉の成長、受粉および着果率の向上
着果時: 果実の生育と品質の向上
果実肥大・成熟時: 葉の成長と木の活力を高め、裂果、浮皮などの果皮障害を軽減
収穫後:: 根の健康と生産性を維持し、葉の紅潮を促進
YaraのCN(硝酸カルシウム)肥料の柑橘施肥の効用
以下の動画ではYaraのCN(硝酸カルシウム)肥料がAN(硝酸アンモニウム(硝安))よりも優れている理由を説明しています。Yara北米の技術普及役員のビル・イースターウッド博士が柑橘へのCN(硝酸カルシウム)施肥の研究結果と効用について説明します。
本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。
Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~
Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。
また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。