農転

農地を農地以外の目的で利用することはとても大変

「農転」とは、「農」地を、農地以外の目的に「転」用することをいいます。農地を駐車場にしたり、ホームセンターを建設したりするのはもちろん、農家が自宅を建てたり、資材置き場を作ったりするのも「農転」です。農転をするには、農業委員会に申請書を提出して、都道府県の知事(地域によっては市町村長)の許可を受けなければなりません。

立地基準

許可されるかどうかの基準は、その農地の立地によって異なります。

農地は、重要性が高い順に
「農用地区域内」農地>「甲種」農地>「第1種」~「第3種」農地に区分されています。

「農用地区域内」農地~「第1種」農地は、原則として農転は不許可とされており、土地収用法の適用を受けた場合等にだけ例外的に許可されることがあります。

他方で「第3種」農地は、許可されるのが原則です。

一般基準

立地基準以外に「一般基準」が設けられていて、転用が実際に行われる確実性も審査されます。具体的な計画のない資産保有目的での農地取得を認めないためです。

農転に厳しい基準が設けられているのは、食料供給の基盤である優良な農地を確保するためです。住宅や工場などでの土地利用は、国全体の農業生産に支障の少ない地域に誘導しようとしています。
そのような観点から、都市計画法の市街化地域の農地は、農転の許可は必要なく、届出(=報告)だけでよいとされています。

 

綾部薫平(しぶや総和法律事務所)

1977年横浜市生まれ。2001年東京大学法学部卒。2013年しぶや総和法律事務所開設し、代表に就任。2015年からG-FACTORY株式会社(マザーズ上場)の社外監査役を兼務。注力分野は一般企業法務、不動産、相続・事業承継など。訴訟など従来の弁護士業務にとどまらず、法律を出発点に関与先企業の経営課題の改善にも取り組む。「詳説不正調査の法律問題」(弘文堂 共著)、「弁護士が悩む不動産に関する法律相談」(日本加除出版 共著)など著書多数。セミナーや社員研修の講師も務める。

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