窒素はビートの収量に最も大きな影響を与える栄養素です。 窒素は、作物の生育に不可欠な酵素、ビタミン、葉緑素、その他の細胞成分の重要な成分です。
窒素欠乏の作物は葉緑素が不足しているために成長速度が遅く、葉が淡い緑色または黄色であり、葉の膨張がないために発育が阻害されるという特徴があります。
窒素の最も効果的な施肥方法は、播種時に種子から正確な距離でドリル施肥することです。 ドリル施肥の利点は収量増と肥料使用量セーブの両方あります。これは過去に行った数多くの試験で実証されています。 理論的に最適な施肥位置は播種位置から横に5 cm、下に5cmですが、ドリルの爪が石などでズレる場合を想定して播種位置から8〜10 cm離した方が無難です。 播種時にドリル施肥を行う次に窒素を有効に効かせる方法は播種前に表面から15cm下の土中帯に施肥する方法です。その代わりとして播種前にスプレッダー(ブロキャス)で散布した後に土中にすき込む方法もあります。
窒素はビートの収量を増加させます
窒素供給量とビート収量
左縦軸:全体収量(根、地上茎葉含む): ㌧/ha
右縦軸:糖収量: ㌧/ha
横軸:肥料窒素成分供給量: kg/ha
折線: 最上段:全体収量、中間:糖収量:最下段:茎葉収量
ビートの糖収量を最大化する窒素量は一般的には約120kgN / haです。
窒素量を増やすと全体収量は上がるが糖度が低下する
左縦軸:ビート全体収量(根、地上茎葉含む): ㌧/ha
右縦軸:糖含有率(%)
横軸:肥料窒素成分供給量: kg/ha
折線: 最上段:全体収量、中間:糖収量、最下段:茎葉収量
窒素を一定量以上に与えすぎると糖度が下がります。
最大糖収量の窒素量は全体最大収量の窒素量よりも低い
左縦軸:全体収量(根、地上茎葉含む): ㌧/ha
右縦軸:糖収量: ㌧/ha
横軸:肥料窒素成分供給量: kg/ha
折線: 上段:全体収量、下段:糖収量
糖収量にとっての最適な窒素量は全体収量の場合よりも低くなります。
製糖まで考えた場合の最適窒素量は約150kgN/ha
左縦軸:収量(平均収量を100とした場合)
右縦軸:糖収量: ㌧/ha
横軸:肥料窒素成分供給量: kg/ha
折線: 上段:全体収量、下段:糖収量
Yaraがビートに推奨する肥料
YaraMila コンプレックス217
12(うち硝酸態窒素5)-11(うち水溶性リン酸7)-17(水溶性カリ)+20%S03-NPKが一粒一粒に配合された高度化成肥料。苦土(マグネシウム)と硫黄に加えて微量要素が入っており、露地、ハウス栽培作物に幅広く使えるオールラウンド肥料です。
YaraMilaスプリンター
20.5(うち硝酸態窒素9.5)-7(うち水溶性リン酸4.5)-14(水溶性カリ)+カルシウム3%配合の高度化成肥料。小麦などの穀物にも適しておりますが、窒素とカリウムの要求量が高いビートにも最適な肥料です。
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本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。
Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~
Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。
また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。