麦の栽培で見過ごされがちなホウ素

ホウ素は一般的に見落とされがちな微量栄養素です。 多くの場合アブラナ科の作物だけホウ素が重要で、輪作体系にアブラナ科作物が入っていない場合や麦だけの栽培の場合はホウ素の重要性が低いと誤って考えられています。アブラナ科の作物が最もホウ素を必要としていることは事実ですが、他のすべての作物にとってもホウ素は重要な栄養素となります。



冬が湿潤気味で寒い春を迎えた場合はホウ素欠乏に特に気をつける必要があります。

ホウ素は陰性に変化した陰イオンとして土壌中に存在するため、陽イオンの交換許容量が低い砂礫土壌の場合は特に同じ陰イオンである硝酸塩(NO3-)、硫酸塩(SO4-)と同様に流亡しやすくなります。 ホウ素は流亡しやすい性質を持つため土壌中に保持させることが難しいです。また硝酸塩と同様にホウ素は主に根から水と一緒に吸い上げられて葉からの蒸散によって移動するため、低温時では根の成長が鈍く蒸散量も減少するため、作物への吸収が減少します。
ホウ素は核酸や植物ホルモンの生産のために必要となる栄養素であり、通常は葉や成長点で多く見られます。 また花粉の発芽にも重要となる栄養素のため、ホウ素が欠乏すると受精不良、結実の減少、およびその結果として収量減につながる可能性があります。またホウ素は細胞壁の形成や木質化にも関与しているため、細胞壁の強度を高める働きがあり、カルシウムの吸収力を高める効果があることが分かっています。ホウ素は作物体内では比較的動かないので、ホウ素欠乏になると若い葉や組織が最初に影響を受けます。

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本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

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