日本で実験してみましたコーナーNo.3:馬鈴薯に対する有機化成肥料の効果を実験してみました!

お久しぶりです。名古屋は大変暑い日が続いております。
5月頃からずっと出張続きで北海道、関東、東北の栽培現場を巡回して様々な作物の生育状況を確認して来ましたが、ようやく一段落つきました!今年は全国各地で地域に共通した天候傾向がなく、現場に行ってみないと訪問する地域の気候の推移が掴めずに訪問先の農家の方々に色々教えて頂きながら何とか栽培アドバイスが出来るような状況でした。
行先の気象データは調べて行くのですが実際の状況は違っていたりして最近の異常気象は良く分からない事を再認識しました。作物の収量にも影響が出たケース、出そうなケースがあるのでしっかり検証して来作に向けた取り組みをして行きたいと思います。

結構、業務多忙の中でしたが今春からも「日本で実験してみましたシリーズ」は継続して行っており、春から馬鈴薯の栽培試験を行っておりました。
実は馬鈴薯のように掘ってみないと収量がわからないような作物については私にとって少々苦手な作物でして「どんな肥料を使ったらいいの?」と相談されても「うーん・・・」と悩んでしまうのですが、やはり初期生育から肥効がしっかり効いて、さらに適当に土壌微生物の活動を刺激しつつ、適度に肥効が持続するような有機化成肥料を提案する事が多いので今回は当社が販売している有機化成「グルソーユーキ青S082(10-18-12+1 WB0.3)」と化成肥料の「14-14-14」を比較した試験をしてみました。
「グルソーユーキ青S082」は全窒素の15%が有機態窒素で、リン酸高の硫酸カリ使用で水溶性ホウ素まで含有している有機化成で馬鈴薯栽培に是非使って頂きたい肥料です。
当社にはYara社製品だけではなく色々な商品があります!是非ホームページをご覧下さい。
肥料 (meikyo-shoji.co.jp)

〇試験概要

事前に荒起こしをした後に2022年3月16日に肥料を施肥して、耕うん後80㎝幅の高畝を作成して、マルチを設置し20㎝間隔に畝穴開けて1/2に切った種芋を12~15㎝の深さにて植付けしました。小面積での試験でしたが計算上4400本/10aの株が入るような設定になっております。品種は「男爵」です。
施肥についてですがマルチ栽培なので全量を元肥にて施用しました。施肥量は窒素成分で14㎏/10aにて統一しました。(今回は敢えてリン酸、カリの施肥量は考慮しておりません。)施肥設計をまとめると以下の通りです。



〇生育推移

2022年3月25日に発根を確認し、3月28日に萌芽始。4月5日に全株共に萌芽を確認しました。萌芽後の推移を見守り4月11日に茎を4本にて揃えて本格的な生育状況の観察に入りました。その際の写真です。

●4月7日(種芋植付け22日後)



●4月11日(種芋植付け26日後)




5日間でものすごいスピードで生育しておりました。ナス科作物は成長する時はあっという間に大きくなるからビックリします。急激に葉面積が増えるので生育も旺盛になります。
という事はあまり緩効的な特長を持つ肥料を使うと生育的に問題があると思います。

●4月22日(種芋植付け37日後)




すっかり株が大きくなり花芽が確認出来るような状況になりました。10葉目の展葉期です。生育調査の結果は・・・

グルソーユーキS082・・・葉色(展開葉上位より3葉目)50.7p(SPAD)
             草丈(絞り丈) 48.6㎝

14-14-14   ・・・葉色(展開葉上位より3葉目)50.0p(SPAD)
             草丈(絞り丈)  44.0㎝
でした。見た目にもグルソーユーキの方が生育旺盛であり、葉色測定値の差よりも外観上
葉色も濃いような状況になっておりました。
有機化成は肥料そのものの効果もありますが含有している有機成分が土壌微生物の栄養になり土壌中の様々な地力を呼び起こすので施肥成分以上の効果が出る肥料です。有機態窒素の成分は低くても有機成分が結構多く入っているので意外に効果的です。特にグルソーユーキは施用後の有機成分の発酵ガスが出にくい肥料なので栽培現場では使いやすいのです。
しかしあっという間に着蕾期になってしまいました。やはり馬鈴薯は見た目に生育早いです。ただ馬鈴薯はこれからの肥効も重要なので如何に茎葉が枯凋して行くかを観察して行こうと思いました。
その後5月6日頃に開花期を迎えて塊茎肥大期に移行しました。その頃から私が出張で多忙になり、出張の合間に観察するような感じになりました。

●5月16日(種芋植付け61日後)の状況です。



花も咲き終わって段々老化したような葉色になって来ましたが下葉の黄化はまだ始まっていない状況でした。樹姿から見れば明らかにグルソーユーキの方が茎葉にボリュームが
ある印象でした。
生育調査の結果は・・・
グルソーユーキS082・・・葉色(展開葉上位より3葉目)47.3p(SPAD)
             草丈(絞り丈) 72.5㎝
             葉数      13枚

14-14-14   ・・・葉色(展開葉上位より3葉目)45.9p(SPAD)
             草丈(絞り丈)  69.8㎝
葉数      13枚

となりました。グルソーユーキは茎葉の倒伏が見られたものの立ち上がって来ており、14-14-14は軽い倒伏が見られる程度でした。茎葉のボリュームがグルソーユーキの方が大きく、草丈には差がないものの倒伏しやすい樹姿になったようでした。ただ塊茎肥大に影響するレベルの倒伏ではないと思われ実際の栽培現場でも良くあるような感じでした。

●6月2日(種芋植付け78日後)の状況です。



枯凋が進んでほぼ塊茎肥大が終了したような状況になりました。
写真を見てもわかるようにグルソーユーキの方が葉は多く残っており枯凋のスピードは14-14-14の方が早くなりました。今回の試験は自然に枯凋するのを待つような感じでしたので塊茎肥大の期間はグルソーユーキの方が長くなり塊茎肥大が良くなるのではないかと期待しましたが今迄の経験上、結構期待を裏切られてきたので半信半疑で収穫期を迎える事になりました。気候的には少々干ばつ傾向で推移したので塊茎肥大の条件としてはあまり良くないものと思いました。

●収穫調査は6月20日(種芋植付け96日後)に実施しました。

少々遅れ気味の収穫になりました。茎葉は両区共にすっかり枯れておりました。
収獲結果を下記に示します。





〇合計重量は2.5㎡当りの収穫重量。*10a計算収量は4400株/10a換算値

収量調査結果としてはグルソーユーキの方が17%程多収の結果となりました。収穫個数はほぼ同じでしたがMサイズ以上の塊茎数が多くなったことにより増収した結果でした。
(Mサイズ以上の率がグルソーユーキの方が9%程度高くなった。)
10a換算の計算収量的にも総収量としては問題のある値ではない事から試験としては問題ないレベルのものと判断出来ました。ただ思いのほか2L以上の塊茎の数は少なくなりました。試験としてはグルソーユーキが最後までしっかり茎葉が活動出来る状態を保てるような肥効を示した事が増収結果につながったものと思いました。
また今回の試験ではリン酸の施肥量に差があったので、その事も増収要因になったものと思われました。

馬鈴薯の増収には有機化成の使用が有効であり、グルソーユーキS082は馬鈴薯栽培に向いた肥料である事が試験を通じて分かりました。
「有機含量が多いものが良い肥料である。」的な考えをしている方々も多いのですが、やはり栽培する作物に合った有機含量、有機原料の種類等を考えて使用する肥料を考える事が重要であると思われました。
グルソーユーキはもう一種類12-8-10(グルソーユーキあか280)もあります。
幅広い作物に使用出来ますので是非御使用下さい。
引き続き色々な作物にて試験を継続したいと思います。

アミノ酸肥料グルソーユーキの特徴は何ですか?

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金峯浩(明京商事株式会社)

明京商事㈱の親会社である「日東エフシー株式会社」に勤務して30年余り。 
末端農家に対する栽培技術指導(特に施肥技術の指導)、栽培や肥料に関する講習会の講師を務め、新商品開発、肥料の肥効試験等の業務に携わった後、現在は主に明京商事株式会社の栽培アドバイザーとして北海道を中心とする全国各地で農家様と密に対話しながら活動をしております。

Yara社が掲げる“生産者中心 Farmers-Centric”の理念に共感して、生産者様が
Yara社をはじめとする様々な取扱商品を使って頂いた際に満足して頂ける為に
どのようなアプローチをすれば良いのかについて考えながら様々な提案をして
生産者様の良き相談相手になれるよう業務に取り組んでおります。

今後“GRWRSに掲載されているYaraの海外事例紹介記事の内容を参考にして栽培試験を実施。栽培を日本の環境で行った場合の率直な感想と気付いた点を分かりやすく生産者様に伝える事が出来たらと思っております。

また栽培現場にてお会いする事もあると思いますので今後共よろしくお願いします。

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