なぜ肥料の比重が機械撒きで重要なのか?

ブロードキャストで施肥する場合、より遠くまで正確に撒けるものと撒けない肥料があります。もしあなたが肥料を選ぶ際に正確に遠くまで撒けるということに主眼をおいた場合、どういったことに気をつけたら良いのでしょうか?

比重の重い粒の肥料の方がより遠くへ均一に撒く事が出来ます。

重くて大きな顆粒になればなるほどブロードキャストがより多くの力を伝える事が出来るので、より遠くへ撒く事が出来ます。一方でこれを可能にするためには、粒に力が加わってもこれに耐える強度を伴っていなければなりません。つまり、より遠くに肥料を撒くためには、重量、サイズ、硬度の3つの特性が必要です。言い換えると比重、粒サイズ、粉砕強度となります。

比重とは、特定の量の肥料の体積に対しての重さを意味します。これは、製造方法とその肥料の成分の科学的性質によって決定されます。例えば尿素は、常に硝酸アンモニウムよりも軽いので、粒状尿素が0.7kg/ℓの比重に対してYaraBela Extranは1.0kg/ℓの比重となります。

粒サイズとは個々の粒のサイズを意味します。これは、粒子の物理的構造の影響を受け、主に製造方法によって変わってきますので製造する工場によって異なります。YaraBelaの硝酸アンモニウムベースの肥料はすべて平均粒径3.4~3.6mmの顆粒状の製品ですが、硝酸アンモニウムの顆粒は通常平均粒径2.4mmしかありません。粒度分布もまた散布の均一性および最大散布距離の双方に影響を与えるので重要となります。

粉砕強度または粒子硬度は、肥料の化学組成および製造方法によって決定されます。粒が十分に頑丈でない場合は、スプレッドベーンに当たったときに粉砕されてしまいます。衝撃に耐える強度があれば遠くへ飛ばす事が可能となります。ブロードキャストした後に埃が舞うという現象は散布の精度があまり正確ではないというサインです。 YaraBela Extranの粒子強度は9.2kgで、ほとんどの尿素肥料の2倍以上の強度です。

理論についてはそうですが、実際にはどうでしょうか?

最近行ったデモンストレーションでは、YaraBela ExtranとAxanの散布距離精度が両方とも40m以上に広がっておりますが、一部の農機メーカーはYaraBela Extranの推奨設定を54mまで提供しています。

これら広域幅まで散布する場合、その精度を維持するためには肥料の質が均一であることが重要となります。より重くより大きな顆粒は風の影響を受けにくいので、限界条件でもより正確に散布する事が出来ます。

同様に重要なのは農機のメンテナンスを十分に行い、正確に校正(キャリブレーション)されていなければならないという事です。これは実際に、圃場でトレーテストを行う事によってのみチェックする事が出来ます。メーカーの設定は良い出発点とはなりますが、これらは常に使用する肥料ごとに圃場でチェックしなければなりません。これは36m以上の散布幅とする場合に特に重要となります。

まとめ

粒が重く、大きく、耐久強度があればあるほどブロードキャストがより多くの力量を伝える事が出来るので、より遠くまで散布する事が出来ます。

 

本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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