秋撒き小麦を収穫した後の藁は、商品として残る成果物としての小麦以外にこの収穫から刈り取られたことを意味します。 藁によって取り除かれた栄養素は、次のシーズンの施肥計画で補給する必要があることを忘れないでください。
藁が取り除かれる=栄養素もその分取り除かれている。
藁が取り除かれるということは、収穫数の成果物として取り除かれた穀物に加えて土壌から栄養素が取り除かれたということになります。 穀物と藁の両方が全て取り除かれたとした場合1トン中8.4kgの五酸化二リン(P2O5)と10.4kgの過酸化カリ(K2O,)が土壌中から取り除かれたという計算になります。そのため次のシーズンの施肥計画を立てる際にこのことを考慮する必要があります。
収穫後の土壌分析はもちろんリン酸、カリウムの土壌中の残量レベルを測る良好な指標となります。 収穫前と収穫後で指数(インデックス)が1未満の場合、リン酸とカリウムの秋の施肥は正当化できます。 しかし指数(インデックス)が1以上の場合、秋にリン酸とカリウムを施肥する必要はありません。 収穫するために十分なリン酸とカリウムが土壌中に残っているということであり、必要に応じて除草剤散布を行う際に一度だけ葉面用リン酸塩散布をする程度で十分と考えられます。
秋のリン酸施肥は作物がそれを吸収する前に失われることが多い
リン酸が秋撒き小麦に実際に必要とされるのは、春の起生期以降の栄養成長期に1日1haあたりリン酸を1〜2kgを必要とするときになります。秋に施肥されたリン酸は作物が吸収可能な形で土壌中に存在していない可能性が高いため、この時期の旺盛なリン酸の需要を満たすことはできません。
したがってリン酸及びカリウムの肥料を購入する際には小麦が実際に養分を必要とするタイミングを考えて施肥時期を検討する必要があります。そうでないと施肥を行ったとしても作物に吸収されない場合が多くなり、せっかくの施肥が真に作物が必要とする時期に吸収される形では存在していない可能性が高くなってしまいます。
春にNPKと硫黄分を施肥するのが最善の選択となることが多い
多くの場合は春に複合化成肥料(NPK + S)を施肥するのが最善の選択となります。 すべてのYaraMila™(NPK化成肥料)には、作物の需要が一番高くなる春に継続して作物が吸収する「P-Extend-3種類のリン酸塩」が含まれています。
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本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。
Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~
Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。
また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。