地理的表示(GI)

日本産のシャンパンはありません!?

「シャンパーニュ地方で作られたものだけが『シャンパン』で、それ以外は『スパークリングワイン』」と聞いたことがある方もいると思います。これは「地理的表示」(GI:geographical indication)として、法的な保護が与えられるためです。もともとはEU内での保護でしたが2019年に発効予定の日欧EPA(日EU経済連携協定)により、日本でも正式に法的な保護が与えられます。

日本では、地理的表示法により、神戸ビーフ、近江牛、夕張メロン、下関ふぐ八丁味噌など、合計66種類の農水産物が保護されています。また、酒税保全法により、球磨(焼酎)、白山(日本酒)などのお酒も、保護の対象です。
2019年からは、日欧EPAの発効と同時に、酒税保全法による保護の対象にシャンパン等のヨーロッパのお酒も加えられる予定です。

地理的表示法は、生産地や満たすべき品質などを記載して登録の申請を行い、審査にパスすると、9万円の登録料を支払います。登録料は1度支払えばよく、商標のような更新手続はありません。登録がなされると「GIマーク」を使用できます。地理的表示法に違反して産地の名前を使用した人がいた場合、私人が民事裁判などをする必要はなく、行政自ら調査をして、表示の除去又は抹消を命じてくれます。この命令に従わないと、最高で5年間の懲役や、3億円の罰金が課されます。

 

綾部薫平(しぶや総和法律事務所)

1977年横浜市生まれ。2001年東京大学法学部卒。2013年しぶや総和法律事務所開設し、代表に就任。2015年からG-FACTORY株式会社(マザーズ上場)の社外監査役を兼務。注力分野は一般企業法務、不動産、相続・事業承継など。訴訟など従来の弁護士業務にとどまらず、法律を出発点に関与先企業の経営課題の改善にも取り組む。「詳説不正調査の法律問題」(弘文堂 共著)、「弁護士が悩む不動産に関する法律相談」(日本加除出版 共著)など著書多数。セミナーや社員研修の講師も務める。

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