GRWRS探訪 No.2 株式会社 MESSEコーポレーション 宮城県仙台市

-ドローンを巡る物語 -菊地 隆弥さん-

仙台市中心部から地下鉄で数駅離れた長町。仙台市街の住宅地とオフィスが点在する地域にドローンの講習を手掛ける株式会社MESSEコーポレーションが運営するスポーツ施設がある。どう見てもフットサルコートであり、ドローンとは結び付かなかったが、誰もいない昼下がりのフットサルコートを見て、なるほどとすぐに思った。全天候型で四方をネットに囲まれたフットサルコートはドローン講習にはうってつけの場所じゃないかと。



フットサルコート脇の事務所でお会いしたドローン講習のインストラクター菊地隆弥さんの容貌はスポーツコーチといった感じ。お聞きするとそれもその筈。高校を卒業して(株)ヤマハ発動機にてサッカーをしていたとの事。怪我で選手としては断念したが、サッカーに携わる仕事がしたくて、サッカーコーチとして(株)MESSEコーポレーションへ中途入社され、現在では事業開発部長としてドローン事業を中心とした新規事業のプレーイングマネージャーとして、ドローン講習のインストラクターを務めながら全国各地を廻られている。




菊地さんとサッカー(フットサル)との繋がりは分かったけど、ドローンとの繋がりを尋ねると意外な答えであった。フットサルコートの有効利用を考えてドローン事業を開始されたものと思っていたら、ドローンが現在の様に普及する前、黎明期から空撮を行っていたという。
単に現在の時流に乗ってドローンの新規事業を始めた訳ではないことが理解出来た。サッカーコーチ時代に培った講師としての能力と、黎明期からドローンに関わった経験。異分野でのご経験が合わさった菊地さんによるドローン講習は丁寧で分かり易いと好評で、現在は仙台の他に埼玉、大阪で、年間100名程度の方にドローン講習を行っているそうです。

ドローン x 農業

空撮、土木測量、点検検査の用途から始まったドローンが、今では山間部、陸上交通が難しい地域、災害地への緊急医療物資の輸送など様々な分野で活用されています。その中でも最も注目されているのがドローンの農業分野への利用であり、菊地さんのドローン講習の中にも農薬散布のコースがあります。




“ドローン・キャスト” -ドローンによる圃場センシング・NDVI(生育指数)調査・可変施肥

現在、菊地さんが取り組んでいるのが、ドローンを使った圃場センシング・NDVI(生育指数)の調査から、ドローンでの可変施肥までを一気通貫で行うプロジェクトです。
その名も“ドローン・キャスト”。圃場管理の省力化と農薬・肥料などの資材コストセーブを同時に狙う試みです。ドローンで施肥出来る量に限界があるからこそ、効率を追求する。
従来の施肥形態に囚われずに、ドローンの特性に合わせて施肥形態を変えていく。
農業界は高齢化・就業者不足に伴って離農が進み、1生産者当たりの圃場面積は増えていく傾向にあります。また、農地として利用されずに耕作放棄地となる面積も増えています。
ドローンが、農業界が抱える課題を解決する一助となるかもしれない。

仕事以外でも菊地さんはアクティブです。菊地さんが居住している宮城県富谷市にて、富谷ユネスコ協会の副会長、富谷市少年少女発明クラブの指導員といった地域の社会貢献活動もされています。



その根底にあるのがSDGs(持続可能な開発目標)です。「人間の価値観は、育ってきた環境や経験で形成されるので、子供たちには可能性が広がるような、多くのチャレンジや経験をしてもらいたいと思っています。世界には多くの問題があり、問題解決するにはチャレンジが必要です。大人になっても臆せずチャレンジするマインドを持ち続ける人が増えれば、社会を変えられる。多くの人を助けることが出来ると感じます。まずは、そのためにも私自身が挑戦し続ける人間、未来を創る人間でありたいと思います。いろいろやってますけど私の中では全てつながっているんですよ(笑)」

菊地さんの謙虚さに隠れた芯の強さは、ご自身の人生経験からくるものと取材をさせて頂いて感じました。

株式会社MESSEコーポレーション
ドローン事業部/DROSSE:http://drosse.jp
富谷ユネスコ協会:https://www.tomiya-unesco-association.org
富谷市少年少女発明クラブ:https://www.tomiya-kids-invention-club.com

三宅耕司(明京商事株式会社)

GRWRSを監修。主にYara社海外法人の記事の翻訳を担当。
Yara社が掲げる“生産者中心 Farmers-Centric”の理念をGRWRSの記事の中にも反映・実践できる様にしたいと思っております。
農法・使用する農業資材はライフスタイル、価値感が人それぞれで違っているのと同じ様に生産者によって個性があっていいと思うし、そうあるべきとも思いますが、どの農法にでも通底するようなエッセンス・根拠は必ずある筈と思ってGRWRSの記事製作を行っています。
野球選手の評価がセイバーメトリクスという新しい指標によって変わった様に肥料の世界においても新しい視点・評価の在り方が普及・発展し、生産者にとって最適な資材が意図をもって選択され、使用されることを願っております。
そのためにも肥料のサプライヤーの立場から情報が偏らないように、非対称とならないような情報発信を心掛けていきたいと思っております。

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