GRWRS探訪No.3 Pix4D 続編 北海道深川市農事組合法人 ユナイテッド

昨年2021年8月にドローン画像処理ソフトを手掛けるPix4D社をご紹介してから半年足らず。当時は東京オリンピックで日本人選手が活躍し、コロナ禍の先が見えて、少しは光明が差してきたと思われた時でした。

その後2021年10月に中国の肥料輸出規制(輸出審査厳格化)があり、さらに2022年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ軍事侵攻によって農業(特に肥料等農業資材のサプライチェーン)を取り巻く環境も一変してしまったと感じざるを得ません。肥料の価格高騰もさることながら、ともすると肥料の安定供給すらままならなくなる時代(ファーティライザーショック)の到来を予感させることが起こりつつあると感じます。

オイルショックの時代に省エネの技術が進化した様に、ファーティライザーショックの時代には省肥料、肥培管理の技術が進化していくものと思います。

ドローンを使った精密農業。GRWRS探訪でPix4Dを紹介した際にはこんなこと出来ればいいな?的な理想混じりもありましたが、あれから時代が急速に現実に迫ってきました。そんな時代の中で生産者・農業関係者のご協力を得て、今年Pix4Dと提携して2件の取り組みを北海道で行うこととなりました。

今年行う2件の取り組みとのご縁は2021年10月27日、28日にPix4Dと共同で出展した北海道スマート農業サミット(オンライン開催)で繋がりました。

北海道スマート農業サミット(2021年10月27日・28日 オンライン開催)「ドローン画像から農業生産性の向上につなげる:持続可能な農業を実現するためには」講演アーカイブ配信 | GRWRS

今回は、北海道深川市でご縁を頂いた農事組合法人ユナイテッドとの取り組み内容をご紹介します。農事組合法人ユナイテッドは中西秀幸代表のもとメンバー5名で水稲が中心ですが花卉の栽培もされています。現在研修農家も募集されています。

JAきたそらちで農業を始めませんか! | きたそらち農業協同組合 (ja-kitasorachi.com)

今年”ゆめぴりか“(密苗栽培)と”ふっくりんこ“(成苗ポット栽培)の2品種で試験区と対象区を設けて、以下3点を主目的にドローン空撮画像とPix4Dの農業マッピングソフトウエア、PIX4Dfieldsを使って生育状況を確認しながら、Yara社のコーティング硝酸カルシウム肥料(トロピコート)のドローン追肥の実験を行うこととなりました。
PIX4Dfields: 農業マッピングのためのドローンソフトウェア | Pix4D

試験の目的

① 収量の安定化を図る: 生育状況を確認しながら幼穂形成期前にトロピコートのドローン散布を行い、生育をコントロールすることで生育ムラを抑え、適期刈取時期を把握することで収量の安定化を図る。
② 品質の向上を図る: 昨年作では生育初期の2か月間の干ばつと夏場の猛暑が重なり、“腹白”、“乳白”などの生育不良が発生したが、この様な生育不良をオンタイムにドローン撮影、生育分析を行うことで減少させる。
③ 食味値向上(タンパク質含有量軽減): 北海道ではケイ酸を追肥することで食味値を向上させるのが一般的な方法であるが、硝酸カルシウム(トロピコート)をケイ酸肥料に置き換えて追肥した場合に食味値向上の効果が出るかを試験する。





農事組合法人ユナイテッドメンバーとプロジェクト関係者を交えたキックオフミーティングの様子

今回ドローンを使って圃場分析に役立てたいと考えているのは以下の5点。(④、⑤については今後の検討課題)
① 圃場の均平化: 圃場に高低差、凸凹があると密苗の場合は苗が水没して生育ムラが出易くなるため、ドローンで圃場の高低差を分析してレーザーレベラーでの圃場均平化に掛かる作業の手間・コストを削減する。      
② 生育の良し悪しを植生指数マップ(NDVI等)でドローン撮影の都度適宜分析する。        
③ 葉色をオルゾモザイクでドローン撮影の都度適宜分析する。
 PIX4Dfieldsの出力ファイルとは? | Pix4D                
④ 稲穂の水分含有量
⑤ 圃場水温・地温の計測

今回のプロジェクトにあたっての一番の課題は撮影用ドローンの操作、ドローン散布は誰がどうやって行うのか?ということでしたが、北海道深川市で農業関連のサービスを手掛けるゆきむら.TECHにご協力を頂けることとなりました。
Pix4Dのアンバサダーでもあり、ドローン散布用肥料としてYara社の肥料販売も行って頂いております。今後ドローンを使用した精密農業の分野にサービス展開を図りますので、ご興味ある方は以下ウエブサイトから直接お問合せ下さい。
農業機械、農業ドローン、農業マネジメント | 株式会社 ゆきむら.tech | 北海道 (yukimura.tech)




ゆきむら.TECHの髙橋代表

GRWRS、明京商事としても化成肥料を限りある貴重な資源と捉えて、ドローンなどのIT・ソフトウエアを使った精密施肥・精密農業を今後も追求していきます。 今回ご縁を頂いた、北海道深川市の農事組合法人ユナイテッド、ゆきむら.TECHならびに関係者の皆さまのご厚意、ご協力に対してこの場を借りて御礼申し上げます。

三宅耕司(明京商事株式会社)

GRWRSを監修。主にYara社海外法人の記事の翻訳を担当。
Yara社が掲げる“生産者中心 Farmers-Centric”の理念をGRWRSの記事の中にも反映・実践できる様にしたいと思っております。
農法・使用する農業資材はライフスタイル、価値感が人それぞれで違っているのと同じ様に生産者によって個性があっていいと思うし、そうあるべきとも思いますが、どの農法にでも通底するようなエッセンス・根拠は必ずある筈と思ってGRWRSの記事製作を行っています。
野球選手の評価がセイバーメトリクスという新しい指標によって変わった様に肥料の世界においても新しい視点・評価の在り方が普及・発展し、生産者にとって最適な資材が意図をもって選択され、使用されることを願っております。
そのためにも肥料のサプライヤーの立場から情報が偏らないように、非対称とならないような情報発信を心掛けていきたいと思っております。

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