カルシウムでニンジンの品質を良くする

ニンジンの生育に栄養素が重要なことは言うまでもありませんが、品質にも大きな影響を与えます。 ニンジンの生育と品質を保つために鍵となる栄養素が幾つかあります。
生育・品質の鍵となる栄養素が作物に吸収される形態で供給を確保することが重要ですが、特に品質を保つためにはカルシウムよりも重要な栄養素は他にありません。



ニンジンに鬆(す:空洞)が出来るのはもともとカルシウム欠乏症であると考えられていました。過去10〜15年間の研究で植物病原菌Pythium violaeが原因であることが分かり、殺菌剤でかなりうまく防除されていました。 最近の報告ではこれら殺菌剤の微生物分解が進み、防除レベルが低下しつつあることが示唆されています。

カルシウム効果が再認識されています

オーストラリアの研究者は最近、カルシウムがニンジンの鬆の発生割合を減らす役割を果たしていることを試験結果で示しました。 ポット試験は、硝酸カルシウムがニンジンの鬆の発生を減らすのに効果的なカルシウム源であることを示しました。 硝酸カルシウムは土壌のpHを上昇させないため、ソウカ病を助長する可能性が低いという利点もあります。

硝酸カルシウムはジャガイモなどの根菜類の皮の見栄え・仕上げを改善するのに役立つとの報告は寄せられていましたが、ニンジンの生産者からも同様の報告が上がってきています。
カルシウムがさまざまなフハイカビ(pythium)を減らすのに役立つ土壌微生物相を活発化させる役割があるとの報告が幾つかあります。(参照:Soil Bourne Plant Pathogeus-1993)

カルシウムは早期に与える必要があります

カルシウムを与えるタイミングは重要です。以下のグラフはニンジンが各栄養素を取り込むタイミングを示していますが、カルシウムは葉の成長(Leaf growth)中に取り込まれるのでめ、根の成長(Root growth)期からでは遅すぎます。

ニンジンが各栄養素を取り込むタイミング
縦軸:栄養素の吸収量(kg/ha)
横軸:播種後経過日数
N:窒素、P:リン酸:K:カリウム、Ca:カルシウム

カルシウムの吸収と窒素の吸収の間にも密接な関係があります。N(窒素):Ca(カルシウム)の比率が双方の栄養素の作物への吸収効率に影響を与えますが、窒素とカルシウムを同時に与えることも重要です。

カルシウムが作物に吸収されるためには水に溶けている必要があります。

重要なのはカルシウムを与えるタイミングだけではなく、施肥するカルシウムの素材も重要です。 石灰資材が作物に吸収される十分なカルシウムを含んでいて、実際に作物に取り込まれていると誤解されていることが時々ありますが、多くの石灰資材は炭酸カルシウムがベースになっています。炭酸カルシウムは水に殆ど溶けないため、施肥してもカルシウムが作物に吸収されることはほとんどありません。

一般的に石灰といえば炭酸カルシウム(Lime)を示します。1kgの炭酸カルシウムを溶解するには66,000リットルの水が必要です。 つまり、作物が吸収できるようになるまでには長い時間がかかるということです。 Yaraのカルシウム肥料YaraLiva®シリーズの肥料は硝酸カルシウムベースです。1 kgの硝酸カルシウムを溶解するのに1リットルの水しか必要としないため、カルシウムの溶解度が非常に高いということを意味します。

Yaraの推奨は播種後または3〜4葉の段階までに330kg / haのYaraLiva®トロピコート(日本での販売ペットネーム:ノルチッソ:窒素換算量50kgN / ha)を施肥、6-8本葉の段階でさらに330kg / haを追肥することです。
注意:土壌の種類、以前の作付け、地域の気候要因、他の肥料の投入量に応じて施肥量を調整してください。

関連資料

水に良く溶けるカルシウム≒作物にすぐに吸収されるカルシウム

水に良く溶けるカルシウム≒作物にすぐに吸収されるカルシウム


硝酸カルシウムで収量・品質を向上させる

Yaraの硝酸カルシウム肥料
YaraLiva®は硝酸カルシウムベースの肥料です。即効性の硝酸態窒素14%と水溶性カルシウムが26.3%含まれているため、窒素とカルシウムが同時吸収され、即座に作物体内に取り込まれます。
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本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。

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