農業経営を法人化した場合のメリットを記載します。
税制面のメリット(代表例)
1 事業主の所得が法人を通じて分配され、累進課税の所得税に比べて定率課税の法人税適用で課税が軽減される可能性がある。所得が高い事業主ほど減税となる。
2 役員報酬を給与所得とすることにより、役員報酬額は原則法人の損金に算入される。また、受け取った個人についても「給与所得控除」が適用され所得税・住民税の課税も減少する。
3 青色申告法人の欠損金は9年間繰越控除(平成30年4月1日以後開始する事業年度について生ずる欠損金額については10年間)となる。(個人事業主については3年間)
4 将来支払う役員等に支払う退職金については、その法人の損金に算入される。また、受け取った個人についても「退職所得控除」が適用され所得税・住民税の課税も減少する。
経営上のメリット
1 経営管理能力が向上する
・家計と経営が分離、経営管理が徹底、経営者としての意識改革を促進
2 対外信用力が向上する
・財務諸表の作成の義務化により、金融機関や取引先からの信用大
3 経営発展の可能性が拡大する
・人材(従業員)の確保により、経営の多角化など事業展開の可能性大
4 福利厚生面が充実する
・社会保険、労働保険の適用による従事者の福利厚生の増進
5 経営承継の円滑化が可能となる
・構成員、従業員の中から意欲ある有能な後継者を確保することが可能
その他のメリット
1 制度資金の融資限度額が拡大する
2 農業経営の閑散期に決算期を選択することができる
このように、農業法人を設立した場合には、税制上以外にもメリットが多々あります。しかし全ての人が法人化のメリットを享受できる訳ではありません。次回は法人化のデメリットについてご紹介いたします。
石井宏(石井宏税理士事務所)
東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。 現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。 農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。 (日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者) |