大豆生産における栄養素の役割

窒素は大豆にとって最も重要な栄養素であり且つ最も多く必要とされます。 36ブッシェル(約1トン)の大豆を生産するには、175ポンド(約80kg)の窒素が必要です。 この収量レベルでの窒素は大豆の根粒菌(根の根粒内のリゾビウム菌)の作用による大気中の窒素の固定(取り込み)によってカバーすることが出来ます。
この窒素固定のプロセスにおいてモリブデンは窒素固定細菌の酵素ニトロゲナーゼの構成要素であり、コバルトとともに理想的な根粒形成をするために不可欠です。 したがってこれらの微量栄養素の供給は大豆が栽培されているほとんどの土壌での基本的な慣行となっています。



基本的に根粒菌の作用による窒素固定によって大豆に必要なすべての窒素を供給することができますが、収量を増やすためにはいくらかの窒素肥料を与えることをお勧めします。但し窒素投入量が20 lbs N / ac(約22kg/ha)を超えない様に抑えることが重要です。

リン酸は植物体の中でエネルギー貯蔵に直接関係する役割を担っています。 光合成による栄養分の吸収と植物エネルギーの基となる有機化合物(大豆にとっては油)の蓄積を行うために必要な栄養素となります。

カリウムは炭水化物の組成と輸送に重要であり病害の軽減にも効果があります。 したがってカリ不足とならない様にすることが健全な生育をサポートするために重要になります。
カルシウム・マグネシウム・硫黄は、それぞれ根の成長・光合成・穀粒(大豆)の形成に重要な栄養素です。 硫黄は窒素15:硫黄1の割合で窒素と同時に必要とされるため、窒素と同時に供給される必要があります。

微量栄養素のなかではマンガンに特別な注意を払う必要があります。 最近特にマンガン不足が多く見られるようになっておりますが、マンガンの摂取量の減少はRR(Roundup Ready –グリホサート耐性)の大豆品種の使用と過度の石灰打ちの影響が大きいです。 ホウ素は花粉の発芽と花粉管の成長に重要な役割を果たします。 ホウ素欠乏は収量減の原因になります。

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

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