近年、法人が農業分野に進出しやすくなりました
農地法は、特定の条件を満たす法人にだけ、農地の所有を認めています。以前は、このような法人を「農業生産法人」と呼び、厳しい条件を定めていました。しかし、2016年に条件が緩和され、呼び方も「農地所有適格法人」に変わりました。
営利を目的とする株式会社であっても、「農地所有適格法人」の条件を満たせば、農地を所有できます。具体的には、下記のⅠ~Ⅲなどが必要となります。
- 売上げの過半が農業か農業関連の事業である事(事業の条件)
- 法人に農地を譲渡した人や、法人の行う農業に常時従事する人などが、議決権の過半を有している事(出資者の条件)
- 役員の過半数が農業に年間150日以上従事していて、かつ役員か重要な使用人のうち1人が、年間60日以上、実際に農作業をしている事(役員等の条件)
これに対して、農地を所有せず、リース(賃借)を受けるのであれば、農地所有適格法人でなくても可能です。法人化のメリットは、一般の法人成りと同じように、経営管理がしやすいこと、対外的な信用を得やすいこと、大規模化に向いていること、福利厚生を充実させられること等があります。
他方で、デメリットとしては、会計などの経費負担が増大することや、法人税が課されることなどがあります。
綾部薫平(しぶや総和法律事務所)
1977年横浜市生まれ。2001年東京大学法学部卒。2013年しぶや総和法律事務所開設し、代表に就任。2015年からG-FACTORY株式会社(マザーズ上場)の社外監査役を兼務。注力分野は一般企業法務、不動産、相続・事業承継など。訴訟など従来の弁護士業務にとどまらず、法律を出発点に関与先企業の経営課題の改善にも取り組む。「詳説不正調査の法律問題」(弘文堂 共著)、「弁護士が悩む不動産に関する法律相談」(日本加除出版 共著)など著書多数。セミナーや社員研修の講師も務める。 ウェブサイト:https://www.sowa-law.com/ |