農業経営強化準備金制度について

制度の概要

青色申告をする一定の農業者が、経営所得安定対策等の交付金を農業経営改善計画などに従い、農業経営強化準備金として積み立てた場合、この積立額を個人は必要経費に、法人は損金に算入できます。
さらに、農業経営改善計画などに従い、積み立てた準備金を取り崩したり、受領した交付金をそのまま用いて、農用地、農業用の建物・機械等を取得した場合、圧縮記帳によりその年の課税所得を減額し課税の繰延を行うことができます。
この制度は、特定の交付金を活用して、計画的に農業経営の基盤強化を図る制度となります。

制度の対象者と計画

特定の交付金の対象者である青色申告者で、次に掲げる農業者となります。
1. 個人の場合
・認定農業者・・・農業経営改善計画に記載
・認定新規就農者・・・青年等就農計画に記載
2. 農地所有適格法人の場合
・認定農業者・・・農業経営改善計画に記載
※それぞれの農業者が作成する計画等に、この特例を活用して取得しようとする農業用固定資産が記載されていることが要件となります。新たに農業用固定資産を取得しようとする場合には、事前に計画への記載・承認が必要です。

対象となる交付金

1. 経営所得安定対策の交付金
・畑作物の直接支払い交付金
・米・畑作物の収入減少影響緩和対策交付金
2. 水田活用直接支払い交付金

対象となる資産

1. 農用地
・農地
・採草放牧地
2. 農業用の建物・機械等
・農業用の建物及び附帯設備(加工施設、販売施設を除く)※
・農業用の構築物
・農業用設備(器具備品、機械装置、ソフトウェア)
※農業振興地域内の農業用施設用地に建てられた場合に限ります。
※トラクターやフォークリフトなどの車両は対象となりません。また、中古品も対象となりません。

必要経費(損金)算入限度額

1. 農業経営強化準備金の積立
次のいずれか少ない金額
① 準備金として積み立てようとする金額(交付金等の範囲内で農林水産大臣の証明する金額)
② その年(事業年度)の事業所得(所得)の金額

2. 対象資産の取得(圧縮記帳)時
次のいずれか少ない金額(ただし、取得した固定資産の価額が上限)
① 準備金の取崩額とその年(事業年度)の交付金受領額のうちその固定資産の取得に充てた金額(農林水産大臣の証明する金額)の合計額
② その年(事業年度)の事業所得(所得)の金額

手続き

農業経営強化準備金制度の適用を受けるためには、対象となる金額について農林水産大臣の証明書が必要です。証明書の交付を受けて確定申告書に添付して下さい。

 

石井宏(石井宏税理士事務所)

東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。

現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。

農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。

(日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者)
(一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会正会員)
ウェブサイト:https://141tax.com

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