低地温下でのアンモニウム毒性を避ける方法

春先の作物をスタートダッシュさせるにはアンモニウムの毒性に気を付ける必要があります。

冬から春先の寒気や地温の低下などの要因は定植とその後の活着に影響を与える可能性があります。 冷たい土壌は春先の作物のスタートダッシュを妨げる阻害要因となり得ます。
低温・低地温での栽培条件(気温が低く、圃場が湿り気味になり低酸素状態での栽培条件)で注意すべき一般的な問題の1つがアンモニウムの毒性です。 低地温下では窒素の加水分解、硝化が進まずアンモニア態窒素が優勢になりがちです。
作物はアンモニア態(NH4+)の形態で窒素を取り込むことが出来ますが、作物により取り込まれ易い窒素形態は硝酸態(NO3-)です。作物が有害な量のアンモニア態窒素を取り込んでしまうことによりアンモニウム毒性が生じます。土壌中での尿素(Urea)とアンモニア態窒素が硝酸態窒素へ変換されるためには加水分解(Hydrolysis)や硝酸化成作用(Nitrification)などの生物学的プロセスが介在しており、そのプロセスは気温・地温・土壌水分・土壌pHによって大きく左右されます。



アンモニウム毒性はほとんどの作物に影響を及ぼしますが、毒性の症状が現れる閾値は作物によって異なります。 アンモニウム毒性に最も敏感な作物には、トマト・ジャガイモ・、イチゴ・レタス・アブラナ科作物、およびいくつかの柑橘類が含まれます。 アンモニウム毒性の症状には葉の白化、成長の低下、根の発達不良などがあります。 植物の種類によっては、葉の端が上向きまたは下向きに曲がる場合があります。 ひどい場合は枯死することもあり、生き残ったとしても作物の市場価値は低下します。 また種子の発芽と苗の生育はアンモニウム毒性によって阻害される可能性があります。




写真中央のレタス苗は根がアンモニウム毒性を受けた影響で日中の午後になるとしおれます。 (写真提供:カリフォルニア大学リチャード・スミス&スティーブ・T・コイケによるレタスのアンモニウム毒性の研究ブログ)
アンモニウム毒性は適切な肥培管理を行うことで防ぐことができます。 冬から早春の窒素肥料の選択に関しては尿素や堆肥、アンモニア態窒素を多く含む肥料を減らし、硝酸態窒素肥料を使用することでアンモニウムの毒性を回避できます。尿素、堆肥、アンモニア態主体の窒素肥料は気温・地温が上がってこないとアンモニア態で留まる期間が長くなるため、注意が必要です。硝酸態窒素とアンモニア態窒素では根にも成長の違いが現れます。

植物が硝酸態窒素を受け取ると根の生育が促進されます。



トマトの根での比較実験
左(硝酸態窒素):右(アンモニア態窒素)
参照:Yaraのハニングホフ研究センター-2004


Yaraの硝酸カルシウム肥料カルシニットの継続施肥によりオレンジの根の成長を改善
左;硝酸アンモニウム(硝安)  右;硝酸カルシウム

硝酸イオンはすぐに作物に取り込まれる形態であり作物に簡単に吸収されます。 フィールド調査では、硝酸態窒素を使用すると、アンモニウム態窒素を使用した場合と比較して、収量が大幅に増加することが確認されています。 また硝酸態窒素は-イオンであり、+イオン元素であるカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの重要な栄養素の摂取を促進し、作物の品質を高めます。
Yaraの硝酸カルシウム肥料は細胞壁を強化して病害・霜害耐性を高めるカルシウムとともに、即効性の硝酸態窒素が作物に同時吸収されます。 カルシウムと硝酸態窒素の組み合わせは作物の成長を促進し、アンモニウム毒性の発生を防ぐための好ましい選択です。

YaraLiva®は硝酸カルシウムベースの肥料です。水溶性に非常に優れているためカルシムが即座に作物体内に取り込まれます。

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本記事は、Yara米国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。

Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~

Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。

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